「辻占つじうら」について
about “tsujiura”
万葉の時代から歌にも詠まれているように「夕占(ゆうけ)」は、昼と夜の境である夕刻に占うものです。それは辻にて通る人の会話などを基に占うので「辻占」とも謂われています。古来から、現世と異界の境界である『辻』には神霊精霊が降ると信じられていました。
当社表参道西側、東高野街道と交わる一の鳥居のある辻は、俗称「みこの辻」と言われ、神霊の降るところとして辻占の「占場」になっており、往来者の言動、外見などから占われていました。
現在、その占場は東参道東側に移されており、往来者の観察内容を宮司に告げ、宮司家に伝えられている霊示により判断せられます。このように古来から辻占が行われていたことが「辻占総本社」と言われる所以であります。
古来、全国津々浦々まで名高い瓢箪山稲荷の辻占判断は、商売、運気、縁談、待人、走人、病気、失物、宅替、建築等凡ゆる人生の重大事に迷った時、神断を蒙って其の迷を去り、大いに招福繁榮の道を授かるのであります。昔から此の有難い判断を受けて大成功せられた幾多の信者が連綿と續いて居るのであります。辻占判断を受けられる者は、先づ神前に額づき願事をよく祈請し、静かに此のおみくじを引いて番號を覚え、東参道入口のうらば(占場)へ行きて、気を静めてから占場石を中心として正面を向き、通行人の姿態、年齢、持物、言葉、乗物、連の有無等詳しく観察します。おみくじが一番ならば左右何れから来ても最初の人又は一組の連を、二番なれば二番目、三番なれば三番目を視て再び社務所へ戻り、詳しくその次第を申すと数百年來宮司家に傳へられている社傳の霊示に依り判断せられるのであります。
赫々神威連日薫四来賽客恰如雲岐心一决(決) 瓢山卜
何必焼亀采著攵(文)
当社の辻占には、㊀「辻占判断」 、㊁「辻占おみくじ」、㊂「辻占瓢箪笹」の大きく三つがあり、
その具体的な内容については次に詳しく記載しております。
㊀ 辻占判断
初めに記載した占場の辻の往来者を観察し、占うものが「辻占判断」であります。
かつて、大阪堂島の米相場の上げ下げを占ったり、神託により商売が大いに繁栄すると評判は当時から続いております。
簡単な手順
- 社務所にて受付
- 神前にて祈願の上、判断用おみくじを引く
- 占場にて、判断用おみくじの番号の順番の通行人を見る
- 社務所に戻り通行人の進行方向等を宮司に告げる
- 占いのご神託を賜る
当社の辻占判断は、四柱推命を加味し、総合的に占っております。
よって、事前に生年月日時(生まれた時刻まで)を伺っております。そのため予約無しでもお受けしておりますが、前もって、もしくは当日でもご予約をいただくことをお願いしております。
㊁ 辻占おみくじ
元は「辻占」とは「辻占判断」を指したのでありますが、やがて 「辻占おみくじ」が全国的に有名となります。 「淡路島通ふ千鳥の瓢箪山 恋の辻占いらんかへ」という売り口上とともに、 辻占売りの少女が活躍したことで特に知られています。
「辻占おみくじ」であれば、遠方であっても、また時間が無い時でも、いつ でもどこででも辻占の判断を授かることができると、昔から親しまれて来ました。
三種類のおみくじが同封されています
- やきぬき
- あぶりだし
- (通常の) おみくじ
やきぬき
- 中央の”火”と書かれた所に、線香もしくはマッチの燃え残り火を当てます。
- 火がゆっくりと走り、いずれかのおみくじを囲むように 焼き、抜きます。
- 焼き抜かれた所がおみくじの結果になります。
あぶりだし
- ろうそくやコンロにて、あぶりだしを炎に極力近づけ、よく揺すりながら炙ります。
- おみくじの文言が翡翠色に浮かび上がり、おみくじの結果になります。
- 冷めると元の状態に戻りますが、また炙ることにより翡翠色に浮かび上がり、読むことができます。これは何度も繰り返し行うことができます
おみくじ
一般的なおみくじと同じく、そのままお読みくだされば大丈夫です。
㊂ 辻占瓢箪笹
特に江戸時代から明治、大正にかけてたいへん有名であった瓢箪山「辻占」(辻占おみくじ)は、類似品も出回るほどで、いわゆる フォーチュンクッキーのように固焼き煎餅の中に辻占おみくじを入れたものや、爪楊枝の詰め合わせの袋に辻占おみくじが書かれたものなどまであります。
当社はそれらあらゆる「辻占」の元祖として「辻占瓢箪笹」は伝えられています。最中の皮(餅種)でできた『五行』の色と一致する五色の瓢箪の中に辻占おみくじが入っており、指で摘んで潰すと中からおみくじ(やきぬきの結果のおみくじ)が出て来ます。
当初は餅種を年の暮れに神社で搗き、それを型に入れて焼き、その瓢箪に昆布の紐をつけ、笹枝にくくり付けていました。
大勢で割って占うのもよし、一人で神断を仰ぐたびに占うのもよし、お飾りいただくのもよし、今では可愛らしいとも言われ、大好評であります。